上半期の中国経済:10.4%成長に鈍化、下半期も減速は続く

2008年07月18日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

■見出し

・成長率は鈍化、インフレ率は高止まり
・困難さ増す政策運営、下半期も減速傾向は続く

■introduction

7月17日に中国国家統計局が公表した今年上半期の経済実績では07年をピークとする成長鈍化とインフレ加速が確認された。成長鈍化の主因は、輸出環境悪化と貿易政策の見直しによる純輸出の寄与の低下にあり、内需の旺盛な伸びは続いた。
下半期は、純輸出の成長への寄与がマイナスに転じる可能性が高く、内需は拡大が続くものの、一層の盛り上がりは期待しづらい。政策面では、オーバーキルのリスクにも配慮しながら、金融引き締めの度合い、人民元調整のテンポ、財政によるサポートの組み合わせ方を変えて行くことになるだろう。景気減速は下半期も続き、2008年の年間の成長率は9.8%と6年ぶりに1桁台になりそうだ。インフレは伸び率自体鈍化するが、より広い範囲に及ぶことになりそうだ。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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