鉱工業生産08年5月:景気後退局面入りが濃厚に

2008年06月27日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・生産指数は3ヵ月ぶりの上昇
・4-6月期は2四半期連続で減産の見込み

■introduction

経済産業省が6月27日に公表した鉱工業指数によると、5月の鉱工業生産指数は前月比2.9%と3ヵ月ぶりの上昇となり、ほぼ事前の市場予想通り(ロイター集計:前月比2.7%、当社予想は同2.2%)の結果となった。出荷指数は、前月比2.1%と2ヵ月連続の上昇、在庫指数は前月比0.5%と2ヵ月ぶりの上昇となった。
5月の生産を業種別に見ると、4月に前月比▲8.3%と大幅に落ち込んだ情報通信がその反動から同10.2%となったほか、輸送機械も前月比9.3%の高い伸びとなるなど、速報段階で公表される16業種中、12業種が前月比で上昇(4業種が低下)となった。
設備投資のうち、機械投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は08年1-3月期に前期比▲3.9%の大幅低下となった後、4月が前月比0.3%、5月が同7.1%の上昇となった。ただし、4、5月の平均を1-3月期に比べると▲0.3%低い水準にあり、前年比では3月以降マイナスが続いている。1-3月期のGDP統計の設備投資(2次速報)は、前期比0.2%とかろうじて増加を維持したが、4-6月期は4四半期ぶりに減少となる可能性が高いだろう。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)