新人口推計下における公的年金財政の持続可能性について

2008年06月25日

(北村 智紀)

2006年に発表された新人口推計を考慮した場合、2004年改正の枠組みが将来的に維持可能か?年金財政のリスク要因にはどの程度の大きさがあるか?基本ポートフォリオ選択の違いによる年金財政への影響はどの程度か?に焦点をあて、公的年金財政の持続可能性について検証を行った。北村・中嶋・臼杵(2006)で利用した公的年金財政モデルで分析した結果、年金財政の相当な悪化が予測され、健全性を測る指標である積立度合は、旧人口推計よりも、2030年では1倍程度、2050年では2倍程度の低下が推計される。低い確率ではあるが、積立度合が2050年までに負となる可能性もある。また、中期的な年金財政には、出生率よりも積立金収益率の方が、影響が大きい。長期的には物価上昇率や実質賃金上昇率の変動も無視できない。基本ポートフォリオ選択の違いにより積立度合を改善する余地はあるが、給付水準を改善する可能性は低い。
本稿は2008年3月発刊『リスクと保険』第四号(日本保険・年金リスク学会(JARIP)・財団法人日本アクチュアリー会)に掲載した論文を、同誌の許可を得て複製し掲載するものである。

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