経済研究部 経済調査部長
斎藤 太郎(さいとう たろう)
研究領域:経済
研究・専門分野
日本経済、雇用
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■見出し
・貿易黒字は3ヵ月連続で減少
・自動車輸出の減速が鮮明に
■introduction
財務省が6月25日に公表した貿易統計によると、5月の貿易黒字は3,656億円(前年比▲7.6%)となった。貿易黒字は3ヵ月連続で前年よりも減少したが、市場予想(ロイター集計:400億円、当社予想は▲32億円)は大きく上回った。
円高の影響で輸出価格が前年比▲3.6%(4月:同▲4.7%)と9ヵ月連続でマイナスとなる中、輸出数量の伸びが前年比7.5%(4月:同9.0%)と鈍化したため、輸出金額は前年比3.7%の低い伸びにとどまった(4月:同3.9%)。
輸入金額は、原油高などにより輸入価格が前年比11.6%(4月:同9.0%)と伸びが高まったが、輸入数量が前年比▲6.4%(4月:同2.6%)と急速に落ち込んだため、輸入金額は前年比4.4%となり、4月の同11.9%から伸びが大きく鈍化した。
貿易黒字の減少幅が市場の予想よりも小さかったのは、輸入数量が大きく落ち込んだことが主因である。ただし、輸入数量の大幅減少は、今年の5月の休日(土日、祝祭日)が昨年よりも1日多く、通関日数が少なかったことが影響している可能性がある。輸入数量は基調としては横ばい圏での推移が続いているものと判断される。
原油価格は6月に入り上昇ペースが加速しており、輸入価格の上昇率がさらに高まることが見込まれることや、輸出数量の伸びがここにきて頭打ちとなっていることからすれば、6月以降、貿易収支の減少幅は大きく拡大する可能性が高いだろう。
経済研究部 経済調査部長
研究領域:経済
研究・専門分野
日本経済、雇用
・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員