08年1-3月期資金循環統計~法人部門の資金余剰幅が再び拡大

2008年06月16日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・部門別資金過不足(07年度):法人部門の資金余剰幅が再び拡大
・個人金融資産残高(07年度末と08年1-3月期末):減少幅が最大
・フローの動き :リスク資産から安全資産へ

■introduction

日本銀行が6月16日に公表した資金循環統計によると、07年度の民間非金融法人の資金余剰幅が再び拡大した(図表1)。
民間非金融法人企業は、98年度より連続して資金余剰主体となっていたが、景気拡大に伴う設備投資の広がりを受けて、03年度以降、その幅は縮小してきた(名目GDP比:05年度2.7%、06年度0.4%)。07年度は約10年ぶりに資金不足主体への転換の可能性があったが、足元の景気悪化に伴い設備投資に関してもかなり慎重なスタンスに変わったことで余剰幅が2.3%(同比)に広がった。
家計部門の余剰幅縮小の動きは03年度(0.7%)を底に上昇してきている。名目GDP比では99年度レベルに達している。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

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