消費者物価(全国08年3月、東京08年4月)~ガソリン値下げでも物価上昇率高まる

2008年04月25日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合が約10年ぶりにプラス転化
・東京4月分はガソリン値下げでも全体の上昇率は拡大

■introduction

総務省が4月25日に公表した消費者物価指数によると、08年3月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比1.2%となり、上昇率は前月から0.2ポイント拡大した。事前の市場予想(ロイター集計:1.2%、当社予想も1.2%)通りの結果だった。
原油価格上昇を反映し、石油製品が前年比18.2%(2月:同17.5%)と上昇率が高まったほか、食料品(生鮮食品を除く)が2月の前年比1.2%から同1.8%へと上昇テンポが加速した。食料品の上昇率は07年11月の前年比0.3%からこの4ヵ月間で1.5ポイントの急拡大となっている。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比0.1%(2月:同▲0.1%)と、消費税率引き上げ時の98年8月(前年比0.7%)以来、ほぼ10年ぶりにプラスとなった。物価上昇の中心はエネルギー、原材料価格高騰に伴う石油製品、食料品だが、物価上昇がそれ以外の品目にも波及し始めていることを反映したものと言える。
総合指数は前年比1.2%(2月:同1.0%)であった。
消費者物価指数の調査対象585品目(生鮮食品を除くと524品目)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、3月の上昇品目数は293(生鮮食品を除くベース)となり、6ヵ月連続で半数を上回った(下落品目数は173)。「上昇品目割合」-「下落品目割合」は23.0%で、3月の15.7%から大きく上昇した。特に食料品(生鮮食品を除く)については、上昇品目の割合が2月の6割弱から3月には7割強へと一気に高まった。食料品を中心として、物価上昇が広範化する動きが続いている。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)