コンセンサスを下回る貿易統計が示唆する外需の先行き

2008年03月21日

(斎藤 太郎) 日本経済

  1. 輸出は新興国向けの好調を主因として高い伸びを続けており、実質ベースの貿易収支も拡大基調を維持しているが、財務省が毎月公表する貿易収支の結果は4ヵ月連続で事前の市場予想(コンセンサス)を下回っている。
  2. 前回の景気後退局面(2000年11月~)、2002年以降の景気回復局面における2度の踊り場の時にも見られたように、輸出、貿易収支の実績値がコンセンサスを下回り続けると、輸出は低迷し、貿易収支は縮小に向かう傾向がある。
  3. 当研究所では、米国の景気後退は世界経済の成長鈍化につながり、日本の輸出は減速に向かうと予想しているが、貿易統計の結果がコンセンサスを下回り始めたことは、外需悪化の兆候と見ることもできるだろう。
  4. 景気動向を大きく左右する外需の先行きを見る上では、今後発表される貿易統計の結果とともに、実績値がコンセンサスからどちらの方向に乖離するかも注目される。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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