法人企業統計07年10-12月期~企業部門の悪化鮮明に

2008年03月05日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・経常利益は2四半期連続の減益
・設備投資の減少幅拡大
・10-12月期・GDP2次速報は下方修正を予測

■introduction

財務省が3月5日に公表した法人企業統計によると、07年10-12月期の全産業の経常利益は前年比▲4.5%(7-9月期:同▲0.7%)と、2四半期連続の減益となった。売上高は7-9月期の前年比2.0%から同2.3%へと若干伸びが高まったが、売上高経常利益率の悪化幅が拡大したため、減益幅は前期よりも拡大した。製造業(前年比▲3.3%)、非製造業(前年比▲5.7%)ともに減益であった。
売上高経常利益率は、全産業ベースで3.65%となり、前年同期よりも▲0.26ポイント悪化した。製造業が▲0.57ポイント、非製造業が▲0.18ポイントの悪化となった。原材料高に伴う変動費の増加により利益率が大きく悪化しているのは、製造業、非製造業に共通しているが、非製造業では売上高人件費率の上昇も利益率の悪化要因となっている。人件費の伸び自体は低い(7-9月期:前年比0.6%、10-12月期:同1.0%)ものの、国内需要の低迷に伴い売上高の伸びが前年比ほぼ横ばい(7-9月期:前年比▲0.5%、10-12月期:同0.4%)にとどまっているためである。
経常利益を業種別に見ると、製造業が前年比▲3.3%と、7-9月期の同▲3.6%とほぼ同じ減益幅となった。新興国向けを中心とした輸出の好調が続く輸送機械は前年比14.9%と好調だったが、情報通信機械(同▲16.3%)、電気機械(同▲6.5%)、一般機械(同▲9.2%)など、それ以外の業種はほとんどが減益となった。
非製造業は、前年比▲5.7%と、2003年1-3月期以来19四半期ぶりの減益となった。非製造業の利益の約3分の1を占める卸・小売が前年比▲12.9%と二桁減益となったほか、原材料費高騰に伴うコスト増が続く電気は2005年1-3月期以来の赤字(▲146億円)となった。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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