1月マネー関連~中小企業向けに貸出慎重な動きも

2008年02月08日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向:足元までは緩やかに増加、先行き中小向けに不安
・マネーサプライ:リスク資産から安全資産へ

■introduction

日本銀行が2月8日に公表した貸出・資金吸収動向等によると、1月の総貸出(平残、銀行・信金計)は前年比0.4%と24カ月連続のプラスとなった(図表1)。
業態別では、地銀は同2.4%と比較的高い伸びが続いているが、都銀等は同▲1.2%と10カ月連続で前年比マイナスが続いている。(図表2)。
貸出先別貸出金(1/31日公表、12月分)を見ると、地方公共団体、個人向けは堅調を維持しているが、法人向は12月▲0.1%と4カ月連続でマイナスとなっている(図表3) 。
特に中小企業向けは減少傾向が明確となりつつある。
四半期1回の主要銀行貸出アンケート調査(直近11/23日公表)では、企業の資金需要は昨年の夏場以降頭打ちの状況にあるが大きく急減する状況ではない。しかし銀行サイドでは、格付別利ざや設定、貸出運営スタンスで厳しい動きが出始めている(図表4)。
足元、零細・中小企業での倒産が増加しており、クレジットクランチが懸念される状況になってきている。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

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