消費者物価(全国07年12月、東京08年1月)~CPI上昇率1%に近づく

2008年01月25日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPIの上昇幅が2ヵ月連続で急拡大
・消費税率引き上げ以来の1%台の可能性も

■introduction

総務省が1月25日に公表した消費者物価指数によると、07年12月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.8%となり、11月の同0.4%から上昇幅が大きく拡大した。事前の市場予想(ロイター集計:0.6%、当社予想も0.6%)を上回る結果であった。コアCPIは07年10月に10ヵ月ぶりにプラスに転じた後、上昇幅は2ヵ月間で0.7%ポイントの急拡大となった。
原油価格高騰を反映し、石油製品が前年比15.1%(11月:同9.3%)と上昇率が高まり、コアCPIを0.61%(11月は0.38%)押し上げたほか、パン(11月:前年比0.7%→12月:同5.4%)、めん類(11月:0.4%→12月:同1.6%)など、生鮮食品以外の食料品の上昇率が11月の前年比0.3%から同0.7%へと拡大したことが、CPI上昇率の拡大に寄与した。
総合指数は前年比0.7%(11月:同0.6%)、食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は同▲0.1%(11月:同▲0.1%)であった。
消費者物価指数の調査対象584品目(生鮮食品を除くと523品目)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、2007年12月の上昇品目数は262(生鮮食品を除くベース)となり、3ヵ月連続で半数を上回った。下落品目数は202で、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は11.5%(11月は12.6%)となった。前月に比べれば若干低下したものの、引き続き上昇品目の割合が下落品目を大きく上回っており、物価上昇が広範化する動きが続いているものと判断される。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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