金融政策・市場の動き(1月)~米国リセッションリスクが高まる

2008年01月11日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

  1. 米12月雇用統計の悪化などを受け、米国リセッションリスクが市場で強く意識されている。リセッションに陥るかどうか、今後1-2カ月かなり重要な時期となってきた。
  2. 日本経済も下振れリスクが高まってきている。特に輸出の恩恵を受けにくい中小企業の不振がここにきて顕著になってきている。
  3. (金融政策)日銀は12月金融政策決定会合で景気判断を約3年振り(04年11月以来)に下方修正した。今後の金融政策上の焦点は、各国の利下げサイクル同様に、日銀も利下げに追い込まれるような局面にならないかどうかだ。3月19日に任期が切れる日銀総裁人事は、いまだ流動的だが、今月末から来月にかけて具体的な候補者の名前がそろそろマスコミ各社から報じられるのではないか。
  4. (長期金利)日本の長期金利は、日銀の利上げ観測がさらに遠のく中、景気下振れリスクが高く上昇余地は限定される。
  5. (為替)米国経済の下振れ・米FRBの追加利下げの可能性が高く、もう一段円高が加速するリスクが高い状況にある。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

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