ガソリン給油に見る消費者の生活防衛行動

2007年12月21日

(斎藤 太郎) 日本経済

  1. ガソリンや食料品など身近な物の値段が上がっていることを受け、消費者の間に生活防衛の動きが広がっており、このことはガソリンの給油行動に強く表れている。
  2. 消費者は、セルフサービス方式のガソリンスタンドを利用したり、会員割引を利用したりすることで、できるだけ安い価格で給油を行うようになっている。
  3. 1回当たりのガソリン給油量は2003年頃までは40リットルを超えていたが、その後減少が続き、最近は30リットル台前半で推移している。それまで満タンまで給油していた人の多くが、一定の予算内で給油する方式に切り替え、1回当たりの給油量を抑えようとしている姿が窺える。
  4. しかし、ガソリン消費には生活必需的な支出も多く含まれているため、消費量を抑制することには限界がある。冬場に消費量が急増する灯油と合わせた消費金額は、12月以降、10000円(1世帯当たり)を超え、前年に比べ2000円程度の負担増が見込まれる。消費者は、旅行、外食などの選択的支出を切り詰める動きを強めていく可能性が高いだろう。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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