金融政策・市場の動き(11月)~コストプッシュインフレと日銀の利上げ

2007年11月02日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

  1. (金融政策)FRBは10月31日、声明で「インフレ加速と景気減速の危険性が今回でほぼバランスがとれた」と、しばらく様子見であるとのスタンスを示した。連続利下げが一旦据え置かれる公算がでてきた。ECBは足元物価が政策目標を上回っている。国際市況などの状況によっては、今後インフレ懸念が前面に出てくる可能性がある。
  2. 日銀は10月31日公表の展望レポートで、08年にかけての経済・物価情勢は、下ぶれリスクは高いが、景気回復・物価上昇が続くとの見解を示した。
  3. コストプッシュでコアCPIは早ければ10月分からゼロ%以上に。日銀の利上げ判断は、米国経済の見極め、国際金融市場の落ち着き確認ともに、国内では賃金・消費動向が大きなカギとなりそう。
  4. (長期金利)日銀の利上げ観測が大きく後退しており当面低位安定となろう。年明け以降、国内景気の再加速、賃金の上昇などが見え始め、日銀の連続利上げへの思惑が徐々に高まり、国内長期金利は緩やかに上昇しよう。
  5. (為替)米国経済の下ぶれリスク、米国利下げ観測からドル安が意識される展開が続く。年明け以降、日銀の追加利上げへの観測が再び高まることで緩やかに円高が進行すると予想する。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

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