金融政策・市場の動き(9月)~ECBも見送り、日銀も様子見

2007年09月07日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

  1. (金融政策)市場の関心はサブプライム問題の実体経済への影響に移ってきている。現段階では実体経済への悪影響は限定的との見方。ただし下振れリスクも高まってきているのも事実で、特に米雇用情勢は今後要注意だ。FRBの9月利下げは濃厚、今回利下げは予防的なものとの説明がなされるだろう。今後、景気悪化への対応とのニュアンスが発言等から読み取れることになれば、連続的に利下げする可能性も高い。日銀の利上げは10月以降となった。10月以降の利上げ決断は、ECBの動向に大きく左右されるだろう。
  2. (長期金利)米長期金利の動きを受けて、低位での推移となるだろう。緩やかに上昇に動き出すのは、FRBの追加利下げ観測が遠のく年末にかけてで、その頃は、国内景気の再加速、賃金の上昇などが見え始め、日銀の連続利上げへの思惑が徐々に高まり、上昇ピッチも少し早まるだろう。
  3. (為替)当面、ボラティリティーが引き続き高い展開を予想する。ただし、サブプライム問題に対する情報が増え始め、市場の疑心暗鬼も徐々に減じる年末頃には、一旦ドルが買い戻される動きとなるだろう。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

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