西村審議委員講演(5/31)~早期利上げにやや慎重

2007年06月01日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・2007年2月利上げはなぜそのタイミングだったのか?
・金融政策運営

■introduction

審議委員の中では利上げに慎重と見られている西村審議委員の講演・会見が5/31日(函館市:金融経済懇談会)に行われた。
今回の講演・会見で、
(1) 現状の景況感については、展望レポートに示された内容から大きな差はなし。ただし先行きの物価については、「消費者物価も今年度後半から来年度にかけて、しっかりした上昇を示すようになる」と展望レポートよりは若干強めのトーン。
(2) 利上げについては「徐々に金利水準調整を行う慎重な態度が必要だ。資金の流れや資源配分のゆがみは現時点で差し迫った状況にはない」と早期利上げにやや慎重な姿勢。昨今の福井総裁、水野審議委員に比べて利上げに積極的ではない
ということは判断できそうだが、12月の講演で市場が混乱した事もあったため、かなり慎重な言い回しとなっており、強く真意は表していない。
執行部が利上げ提案をしてきたタイミングで、(おそらく岩田副総裁は反対に回ると思われるが)反対にまわるかどうかは今回判断つかずというのが正直な筆者の感想である。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

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