金融政策・市場の動き~実質マイナス金利と過剰流動性

2006年04月07日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

  1. 金融政策は、5年間続いた量的緩和が解除され、ゼロ金利政策に移行した。消費者物価が緩やかに上昇する中、ゼロ金利政策が今後しばらく継続することで、実質政策金利はマイナスになるものと予測される。大規模な過剰流動性もあり、日銀の政策運営上で資産インフレリスク抑制の位置づけは高まらざるをえないだろう。
  2. 4月28日に展望リポートが公表される。今回は初めて2007年度の予測が示される。日銀のシナリオは2006,2007年度と景気回復は持続、消費者物価指数も上昇率を高め、2007年度には0.8-1.0%程度の数値が示されると予想する。
  3. 当面、長期金利は強含み傾向で推移しよう。景気拡大、株高などを受け早期ゼロ金利解除観測がさらに高まり、当面の欧米の利上げ継続で世界的にも金利上昇圧力がかかる。
  4. 円ドルレートは、ゼロ金利が継続する中で米国の追加利上げ観測がドルサポート材料となり、110円台半ばから後半のレンジでの推移が続く見込み。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

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