政府のデフレ脱却宣言の時期を占う

2006年03月24日

(斎藤 太郎) 日本経済

  1. 量的緩和政策が解除され、日銀がいつ金利引き上げに踏み切るかが焦点となってきたが、利上げ時期を探る上で重要な鍵を握るのが、政府のデフレ脱却宣言のタイミングである。
  2. 新聞報道によれば、政府はデフレ脱却の判断基準として、「消費者物価指数」、「GDPデフレーター」に、「GDPギャップ」、「単位労働コスト」を加えることを検討している。
  3. このうち、すでに消費者物価指数とGDPギャップはプラスとなっており、今後もプラス基調が維持されると見られる。当研究所では、GDPデフレーターのプラス転化は2007年1-3月期、単位労働コストのプラス転化は2006年10-12月期と予測しているが、雇用・所得環境の改善テンポが予想以上に高まれば、単位労働コストのプラス転化は2006年4-6月期まで早まる可能性もある。
  4. 政府が、判断基準となる4指標のうちいくつをクリアした時点でデフレ脱却宣言を行うかは、現時点では明らかになっていないが、全てがプラスとなることが判明するのは、2006年度末から2007年度初めにかけてとなりそうだ。ただし、GDPデフレーターを除く3指標ということであれば、2006年度内、早ければ2006年8月となる。小泉首相退任前の今年の夏頃に、デフレ脱却宣言ということもありうるだろう。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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