欧州経済見通し - ECBは追加利上げ、BOEは様子見を継続 -

2006年03月17日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

< ユーロ圏:2006年2.0%、2007年1.7% >

  • 2006年前半は、輸出回復と消費の緩やかな拡大で回復基調が持続、年後半は輸出の牽引力が鈍るが、2007年初のドイツの付加価値税率引き上げを睨んだ駆け込み需要もあり、通年で2%成長を回復。2007年は米国の景気減速、ECBの利上げ効果の浸透、財政緊縮などの影響で、景気拡大テンポが遅く、通年の成長率は1.7%に鈍化しよう。
  • インフレ率も原油高の影響で年前半は高止まり、ECBは昨年12月、今年3月に続いて、6月に25bpの追加利上げを行なうものと思われる。

< イギリス:2006年2.3%、2007年2.3% >

  • 2005年の成長鈍化の主因となった個人消費に関しては、住宅価格調整による下振れリスクは後退したが、2006年も雇用環境の不安定さと高水準の家計の債務残高という制約要因は残存する。低迷が続いた製造業は輸出主導により下げ止まりが期待されるが、2006年、2007年とも成長率は2.3%と比較的低めの水準に留まる見込み。
  • 個人消費の回復力に不安が残る一方、景気回復に伴うインフレ圧力への配慮も必要なため、BOEは様子見を継続する見込み。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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