欧州経済見通し -消費はユーロ圏で回復、イギリスでは調整続く-

2005年12月16日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

< ユーロ圏:2005年1.5%、2006年1.9% >

  • 2005年は年央から輸出主導で景気が再加速したが、昨年後半の減速が響き、通年の成長率は前年を下回る1.5%に留まる見込み。
  • 2006年は輸出と投資の拡大、個人消費の緩やかな回復で通年の成長率は1.9%に回復。2007年からのドイツの付加価値税引き上げは年後半の個人消費を押し上げる公算。
  • インフレ率は原油高の影響で2006年4~6月期まで2%超の推移が続き、ECBは1~3月期中に25bpの予防的追加利上げを行なう見込み。

< イギリス:2005年1.6%、2006年2.2% >

  • 2005年の成長率は、累次の利上げ効果浸透による個人消費の減速でトレンドを下回る1.6%に減速。住宅市場調整の影響は一巡したが、雇用・所得環境の先行き不透明感等から個人消費の回復は緩慢に留まろう。2006年通年の成長率は2.2%となる見込み。
  • 2.2%となる見込み。利下げが行なわれた8月に比べて、個人消費の失速懸念は後退したが、物価の上振れが警戒されるほどの内需の強さも見られず、政策金利は据え置かれる見込み。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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