欧州経済概況:一進一退で推移するユーロ圏経済

2005年04月22日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

  • 1~3月期のユーロ圏では、生産は原油価格の上昇や3月中旬にかけてのユーロ高進行の影響でおおむね横ばいに留まったが、消費が緩やかに拡大し、外需も改善したことで、成長率は昨年10~12月期の0.2%をかろうじて上回る見込みだ。
  • 企業は、競争激化や需要低迷という環境下、エネルギー価格の上昇分を価格転嫁できないため、設備投資、雇用に対する慎重姿勢の継続を余儀なくされよう。年初の消費拡大はドイツ、フランスについては雇用の裏づけを欠いており、消費者マインドが雇用見通しの悪化やエネルギー価格上昇の影響で弱含んでいることから、消費は早期の息切れも懸念される。
  • 低金利政策の継続とフランスの消費喚起策、ドイツの法人税減税などの景気対策はある程度の下支えとなるものの、早い段階での成長加速は期待しづらい。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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