短観速報~製造業の景況感大幅悪化

2005年04月01日

(斎藤 太郎) 日本経済

<3月短観~景気後退局面入りの可能性も>

  1. 業況判断DIは大企業・製造業で14(前回12月調査22)と2期連続で悪化した。大企業・非製造業は11(前回12月調査11)と横這いだった。先行きについては製造業が横這い、非製造業では▲1ポイントの小幅悪化が見込まれている。
  2. 製造業の景況感の大幅悪化は、輸出の低迷、素材価格上昇に伴うコスト増が企業収益を圧迫していることを反映したものと考えられる。一方、非製造業では雇用・所得環境の改善を背景に個人消費が持ち直しつつあるなかで、景況感も底堅い動きとなった。
  3. 製造業のほぼ全ての業種で景況感が悪化したことは、足もとの低迷が、IT関連の在庫調整にとどまらず、製造業全体に広がっていることを示している。
  4. これまで企業部門改善の源となっていた企業収益の伸びは頭打ちとなっている。収益の改善が設備投資の増加につながるという企業部門における前向きの循環は途切れつつあり、このまま景気後退局面入りする可能性も出てきた。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)