原油高とユーロ圏のインフレ懸念/BOEの金融政策

2004年08月20日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

< ユーロ圏のインフレ懸念 >

  • 原油高の影響でユーロ圏の物価は4カ月連続で目標水準を上回った。
  • 従来、景気循環局面、雇用環境に鑑み、原油高の物価への影響は一時的と見られてきたが、原油高長期化への懸念が広がる中で、ECBも警戒姿勢を強めている。
  • 緩やかながらもユーロ圏経済の回復基調は続いており、インフレ期待の高まりに対しては必要な対応を講じるものと思われる。

< BOEの金融政策 >

  • 8月の25bpの利上げで昨年11月からの累計利上げ幅は125bpとなった。
  • BOEが8月の「インフレーション・レポート」で示した生産、輸出拡大、住宅市況、個人消費の軟化等の景気判断と実際の経済指標には若干の乖離も見られる。
  • 今後も製造業の回復基調が続き、他方で住宅価格と個人消費の鈍化がマイルドなものに留まれば、11月にも追加利上げが実施される可能性は残されている。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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