欧州経済:ドイツ経済底入れの兆し/仏財政赤字への「勧告」の行方

2003年10月24日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

<ドイツ経済底入れの兆し>

  1. 企業景況感が示唆していたドイツ経済の底入れが、製造業の海外受注や輸出のデータで裏付けられつつある。7~9月期は4四半期ぶりのプラス成長への転化が見込まれる。
  2. 2002年1~3月期は、今回同様に輸出主導で3期連続のマイナス成長を脱したが、プラス成長の期間は、輸出の息切れと設備投資調整の深化で僅か3期に留まった。
  3. 今回は、ユーロ相場の大幅な上振れが回避されれば、輸出の回復基調は続くであろうが、経済の高コスト構造の是正が遅れ、中欧などへの生産シフトは加速していることから、輸出回復が国内需要に波及するスピードは緩やか、その度合いもマイルドであろう。

<仏財政赤字への「勧告」の行方>

  • 欧州委員会はフランスに対して構造的財政赤字の削減のための追加措置を求める一方、適切な措置が講じられた場合には制裁対象としない方針を明らかにした。
  • 今回の勧告についての11月のECOFINの決議の行方、勧告が正式に発動された場合のフランス政府の対応を注視する必要がある。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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