高齢者の求人倍率の改善をどう見るか

2002年08月25日

(斎藤 太郎) 日本経済

■目次

1.大幅に改善した高齢者の求人倍率
2.謎を解くふたつの鍵
3.依然厳しい高齢者の就職状況

■introduction

日本の労働市場は、恒常的に高齢者の求人倍率が極端に低いという年齢ミスマッチの問題をかかえてきたが、ここにきてちょっとした異変が起きている。昨年10月以降、全体の有効求人倍率は若干低下しているにもかかわらず、高齢層では軒並み改善しているのである(図表-1)。特に65歳以上の有効求人倍率の改善は著しく、2001年度上期の0.20倍から2001年度下期には0.69倍へと3倍以上に跳ね上がっている。
この数字を額面通り受け取れば、求人・求職間の年齢ミスマッチが縮小していると捉えることが可能であり、これは望ましい方向である。しかし、これは本当だろうか。ここにきて企業が急に高齢者を雇うようになったとはにわかには信じがたい。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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