生産増が雇用の増加につながるか

2002年03月29日

(斎藤 太郎) 日本経済

<今週の焦点:生産増が雇用の増加につながるか>

  1. 大幅な減少が続いていた鉱工業生産は、1-3月期には前期比でほぼ横ばいとなる見込みであり、景気は底打ちの兆しが見られる。しかし、生産の回復が雇用の増加につながらなければ本格的な景気回復は期待できない。
  2. 景気が回復し始めると、企業はまず所定外労働時間を増やすことで増産に対応し、それだけで対応できなくなって初めて雇用者を増やすことに踏み切る。過去の動きを見ると、所定外労働時間が月間15時間を超えると雇用者数がプラスに転じている。
  3. 現在の所定外労働時間はそれよりも約30%も低い水準にある。今後、生産の回復が続いても雇用が増加に転じるまでには少なくとも1年以上の時間を要するだろう。

<1-3月期は4四半期ぶりのプラス成長へ>

  • 2002年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比0.5%(年率1.8%)と、4四半期ぶりのプラス成長になると予測する。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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