ドイツ経済:企業部門と家計部門の乖離は、輸出増により解消

2000年03月17日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

<結論>

  1. 98年から始まったドイツの企業部門と家計部門との乖離は輸出増加により解消した。経済指標の最悪期は、海外受注(98/12)→輸出(99/1)→鉱工業生産(99/3)であり、企業部門の景況感も99年6月から上向いた。88~89年にも同様の乖離が発生・解消したが、類似した動きをしている。
  2. 今局面でのドイツ経済は、企業リストラやグローバル競争を背景に所得の伸びが低く抑えられたため、従来より消費が弱いことが大きな違いである。ただ、サービス部門の雇用増など雇用環境は改善しており、景気は緩やかな拡大が続く。
  3. 2000年3月のニッセイ為替インデックスは▲2.3%と、依然、円高圧力が強いことを示している。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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