医療費抑制に寄与する一般用医薬品市場の活性化

2000年03月01日

(百嶋 徹) 環境経営・CSR

■intrduction

医療費抑制のためにセルフメディケーション推進策も必要に
医療保険財政の逼迫を受けた医療費抑制策の矛先は、医療費の25%前後を占める薬剤費の圧縮に向けられている。ここでいう「薬剤」とは、医師の処方によって使用される医療用医薬品である。現行の医療保険制度では、医療用医薬品の大半について保険から医療機関に支払われる際の価格は、厚生省によって定められ、この公定価格を薬価基準価格(薬価)という。
厚生省は薬価を引き下げることにより、薬剤費抑制を図ってきた。96年度から3年連続で薬価が引き下げられたのに続き、2000年4月からの新薬価も7.0%引き下げられることが決まった。
ただし、やみくもに薬価引下げを続けると、製薬企業の体力を弱め新薬開発力が低下するリスクがある。そこで、軽症の疾病については、セルフメディケーション(自己治療)を推進する政策も必要となってこよう。一般消費者が医師の処方箋なしで薬局・薬店で自由に購入できる薬剤は、一般用医薬品(OTC薬:Over The Counter)といい、セルフメディケーションの普及にはOTC薬市場の活性化が不可欠である。

社会研究部   上席研究員

百嶋 徹(ひゃくしま とおる)

研究領域:経営・ビジネス

研究・専門分野
企業経営、産業競争力、産業政策、イノベーション、企業不動産(CRE)、オフィス戦略、AI・IOT・自動運転、スマートシティ、CSR・ESG経営

経歴

【職歴】
 1985年 株式会社野村総合研究所入社
 1995年 野村アセットマネジメント株式会社出向
 1998年 ニッセイ基礎研究所入社 産業調査部
 2001年 社会研究部門
 2013年7月より現職
 ・明治大学経営学部 特別招聘教授(2014年度~2016年度)
 
【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員
 ・(財)産業研究所・企業経営研究会委員(2007年)
 ・麗澤大学企業倫理研究センター・企業不動産研究会委員(2007年)
 ・国土交通省・合理的なCRE戦略の推進に関する研究会(CRE研究会) ワーキンググループ委員(2007年)
 ・公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会CREマネジメント研究部会委員(2013年~)

【受賞】
 ・日経金融新聞(現・日経ヴェリタス)及びInstitutional Investor誌 アナリストランキング 素材産業部門 第1位
  (1994年発表)
 ・第1回 日本ファシリティマネジメント大賞 奨励賞受賞(単行本『CRE(企業不動産)戦略と企業経営』)

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