公的年金改革に必要な発想の転換

1998年12月01日

先般、厚生省から発表された、公的年金制度の次期改正案の眼目は、厚生年金保険の給付の1割カットなどにより、最終的に保険料を月収の26%程度に抑える点にあるようだ。
一方、修正賦課方式から積立方式への転換、基礎年金における国庫負担割合の引き上げや税の財源化、代行制度の見直しといった、公的年金の根幹に関わる問題は、いずれも先送りされている。99年の財政再計算には間に合わない、というのがその理由だろう。しかし、経済、社会に及ぼす影響が格段と高まる中で、5年おきの制度変更は、やはり硬直的である。
年金審議会報告では、女性の年金に関して、各方面の専門家を含めた検討会を設けるとしている。雇用や税制、経済政策など、省庁横断的な視点から早急に検討すべきなのは、女性の年金に限らない。今こそ「従来のスケジュールに拘わらず、広い視野で見直し、いつでも実行に移す」といった、大胆な発想の転換が必要ではないだろうか。

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