老人ホームにみる公民バランスの不均衡

1997年05月25日

(郷 一尚)

■目次

1. 公民間の利用格差
2. 公民格差の背景
3. 介護保険導入で期待される格差改善

■introduction

老人ホームには、公的施設と民間施設がある。在居者数について比較すると、公的施設の利用者が30.5万人と圧倒的に多く、民間施設(1.9万人)の16倍にも及ぶ。また入居率をみても、96%以上の状態が続く公的施設に対し、民間施設は70~80%で推移している(図表-1)。
公的施設については特別養護老人ホームを中心に入居のための順番待ちが日常化しており、供給が需要に追いついていない。これに対し、民間施設に対する需要は、低価格でも多い公的施設の存在によってクラウドアウト(公共部門の経済活動による代替的・競合的な民間経済活動の締め出し)されている面もあるといえよう(図表-2)。

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