2015年07月03日
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パッシブ運用を行った場合の運用成果は、期待リターンを中心に値上がり・値下がりする可能性が半々の分布となる。値下がりリスクを減らすためには、そもそも、株式への投資を減らす必要があり、収益機会も同時に少なくなる。
利益を得るよりも、損失を被った際のペナルティーが大きい投資家は、ポートフォリオ価値が大きく下落することを避けながら、確率は低いが高い利益が得られる「下方リスク抑制型」の分布を持つ投資機会を選好する。年金運用においても、毎年、積立金の時価評価をするため、大きな下落は避けたいという目標があると、このような投資機会が魅力的に見える。
下方リスク抑制型の分布を得る代表的な投資戦略にポートフォリオ・インシュアランスがある。驚くことに、近年、テクニカル分析を利用した運用にも、このような特性を持たせることができるとの報告もある。
下方リスクの回避は魅力的であるが、これを実現する投資手法は、株価下落時に「売る」という性質のものである。運用実務上の問題もあり、実際にこのような投資方法を採用する基金は少ない。魅力的なものが採用し辛いという状況であり、要因を検討したい。