中国経済:直近の景気10指標と14年10-12月期成長率(予想)

2014年12月26日

(三尾 幸吉郎)

  1. 最近の中国経済を需要面から見ると、輸出には陰りが見え始めたものの、消費・投資には底打ちの兆しがでてきた。前月比(季節調整後)で見ると、輸出金額は7-9月期の平均2.933%増から10-11月期には平均1.700%増へと減速する一方、個人消費の代表指標である小売売上高は7-9月期の平均0.873%増から10-11月期は平均0.935%増へ、投資の代表指標である固定資産投資も7-9月期の平均0.843%増から10-11月期は平均1.340%増へと伸びを高めた。
  2. 他方、供給面から見ると、工業生産は伸び悩み、製造業・非製造業ともに冴えない動きが続いている。工業生産(実質付加価値ベース、規模以上)は、季節調整後の前月比で7-9月期の平均0.567%増から10-11月期には平均0.510%増へと減速した。製造業のPMIは7-9月期の平均51.30%から10-11月期には平均50.55%へ、非製造業の商務活動指数は7-9月期の平均54.20%から10-11月期には平均53.85%へと、ともに前四半期の水準を下回っている。
  3. その他の重要な4指標(電力消費量、貨物輸送量、生産者物価、通貨供給量)を見ると、モノの移動量を示す貨物輸送量、モノの値動きを示す生産者物価、それにおカネの動きを示す通貨供給量(M2)は冴えない動きとなっているものの、経済活動をする上で欠かせない動力源である電力消費量の動きには底打ちの兆しがでてきている。
  4. 景気10指標を総合的に見た景気評価点(3ヵ月前比で上向きなら1点、下向きなら0点として集計したもの)は、11月は4点と8月よりは2点ほど高い水準にあるものの、半分に当たる5つが下向きのままで、中国経済は底這い状態から抜け出せていないようだ(下左図)。また、需要面から見ると上向きつつあるものの供給面から見ると下向きのままで、製品在庫が減少してきていることから、在庫整理のための生産調整過程にあると思われる(下右図)。
  5. 当研究所では、2014年10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比7.2%増(誤差は±0.2ポイント程度)と予想しており、7-9月期の同7.3%増からほぼ横這いと思われる。

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)

関連カテゴリ・レポート