企業物価指数(2014年11月)~消費増税の影響を除くと、原油安でマイナスへ

2014年12月10日

(岡 圭佑)

■見出し

・消費税の影響を除くと、原油安でマイナスへ
・輸入物価は緩やかな上昇が続く
・最終財価格は緩やかな上昇が続く

■要旨

12月10日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2014年11月の国内企業物価指数は前年比2.7%となった(10月:同2.9%)。事前の市場予想(QUICK集計:前年比2.7%)通りの結果となり、上昇幅は5ヵ月連続で縮小し、前月比では▲0.2%と10月の▲0.8%に続き2ヵ月連続でマイナスとなった。消費税分を除いた11月の企業物価は、前年比▲0.2%と10月の同0.1%から1年8ヵ月ぶりにマイナスに転じた。
今後、円安を主因とした輸入物価上昇を原油安が緩和するため、消費税分を除いた企業物価(前年比)はマイナス圏で推移することが見込まれる。

11月の輸入物価(円ベース)は前年比5.1%(10月:同4.1%)と上昇幅が拡大し、前月比では2.6%(10月:同▲1.2%)と2ヵ月ぶりにプラスとなった。
日銀による追加緩和や米景気への回復期待をきっかけとした円安を、新興国経済の減速を背景とした原油安が相殺し、輸入物価(前年比)は一進一退の動きが続くことが見込まれる。

11月の需要段階別指数(消費税除く、国内品+輸入品)をみると、国内需要財価格は前年比1.1%(10月:同1.1%)と前月から横ばいとなった。需要段階別指数を項目別にみると、素原材料が前年比▲0.6%(10月:同1.0%)、中間材が前年比1.6%(10月:同1.5%)、最終財が前年比1.1%(10月:同0.7%)となった。原油価格の下落を背景にマイナスの伸びとなる素原材料を、中間財、最終財が相殺する格好となった。足元の原油安を主因とした素原材料価格の下落が後ズレして中間財、最終財価格に波及するため、最終財の物価上昇は緩やかなものに留まるとみられる。

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