少子高齢化と年金のあり方

2014年04月03日

若年層の人口が減り高齢層が増えると、年金財政の悪化は当然の帰結となる。現在の公的年金が抱える財政状況を考えると、納付保険料の引上げ・年金給付水準の引下げ・年金支給開始年齢の繰延べ・リスクを取ることによる運用利回りの引上げといった可能な諸施策を総動員して、ようやくバランスできるかどうかだろう。

私たち個人にとって公的年金のみへの過度な依存は危険だが、公的年金を利用しないのももったいない。一般的な個人年金や企業年金の商品だけでは、物価上昇への対応が不十分でしかない。公的年金のメリットは、遺族年金や障害年金といった付加的な給付機能のみならず、年金給付の物価連動性にも見出すことができる。

公的年金には必要最低限の給付を期待し、それ以上の豊かな老後生活を送るためには、貯蓄・投資・企業年金・個人年金といった様々な手段を用いる努力が必須である。これまでの高齢者のように、何も考えなくとも、公的年金の給付だけで十分な老後生活が送れる未来は既にない。少子高齢化社会における高齢者予備軍にとっては、自助努力による老後の備えが必要不可欠なのである。

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