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中国経済:市場の発する信号に耳をすませば
2014年03月28日
(三尾 幸吉郎)
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成長目標が「7.5%前後」に設定されたことで、2014年の成長率が7%を割り込むとの見方は少ない。しかし、中国経済は多くのリスク要因を抱えており、政策運営の誤りなどで経済が悪循環に陥る可能性はいまだかつて無く高い。そのリスクを適切に判断できるだけの十分な情報が得られない場合には、市場価格から得られるリスク情報の活用も検討に値する。
市場がマクロ経済の異変を知らせる代表例に株価の下落がある。但し、代表的な株価指標である上海総合だけを見ていたのでは、構造改革の推進でアゲインストの風にさらされているため悲観に傾き過ぎる恐れもある。構造改革でフォローの風を受ける新興株や、住宅価格、人民元(対米国ドル)、長期金利など様々な市場の動きも合わせてみるのが妥当だろう。
個別市場の発するリスク信号を加重平均して総合的に見ることもできる。昨年夏には安全圏にあったリスク信号(総合)は、その後徐々に上昇し始め、さらに1-2月に連続で上昇して、リスクの高まりを発信し始めている。特に上海総合と為替が高いリスク値を示している。
また、実体経済の悪化を示唆する"実体経済系"のリスク信号と、経済が悪循環に陥る可能性を示唆する"バブル系"のリスク信号に分けることもできる。"実体経済系"のリスク信号は雇用情勢が悪化した時などに高まることが多く、"バブル系"のリスク信号は企業マインドが悪化した時などに高まることが多い。2014年2月末時点では両者に大きな差異は無い。
但し、市場が発する信号をあまり重視し過ぎると、相場に振らされる恐れもある。大局を見失わぬようファンダメンタルズ分析を中心に据えながらも、様々な市場が発するリスク信号も耳をすまして聞く必要がありそうだ。
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