押久保 直也(おしくぼ なおや)
研究領域:
研究・専門分野
日本経済、財政
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■見出し
・企業物価指数は前年比で11ヶ月連続の上昇
・交易条件は4ヶ月ぶりに改善
・最終財にまで物価上昇の裾野が広がる
■要旨
3月12日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2014年2月の国内企業物価は前年比1.8%と11ヶ月連続で上昇したものの、1月の同2.5%からは上昇率が縮小し、8ヶ月ぶりに1%台となった。また、対前月比では▲0.2%と4ヶ月ぶりに低下している。
為替・海外市況連動型の寄与度がここ数ヶ月で大幅に縮小しているため、国内企業物価(前年比)の上昇率が大幅に縮小した。2013年2月は93円前後(2013年1月:89円前後)まで円安が進行したため、2014年2月は対前年比で9円程度の円安に留まったことが要因にある。一方で、震災復興事業や消費増税前の住宅建設の増加を背景に、建材需要が高まったことで、製材・木製品は前年比12.6%(1月:14.2%)、鉄鋼は前年比5.8%(1月:5.8%)と上昇率が依然として高止まりしている。
今後は(1)海外経済回復に伴う国際商品市況の上昇、(2)貿易赤字の恒常化、米国のQE3縮小に伴う日米金利差の拡大を主因とした円安基調、から国内企業物価(前年比)は上昇基調を続けることが予想される。ただし、前年と比べた為替レートの変化率が20%以上の円安から足もとは10%弱にまで縮小していることで、輸入物価の上昇率が鈍化しているうえ、消費増税後に需給バランスの悪化が見込まれるため、国内企業物価(前年比)の上昇率は徐々に縮小していくことだろう。
研究領域:
研究・専門分野
日本経済、財政