増宮 守()
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ゴールド(金)とプラチナ(白金)では、どちらが高価でしょうか。一般的には、プラチナの方がゴールドより希少で高価な印象があると思います。しかし、長期的にみると、90年代前半には両者の価格は同水準で推移していました。90年代末には、ゴールド価格が低迷する一方、プラチナ価格が上昇局面に入り、その後は約10年にわたってプラチナがゴールドの2倍程度の価格で取引されてきました。最近では、両者の価格は再び接近しており、その時々のタイミングによりどちらが高いとはいえない状況となっています(図表-1)。
ところで、グリーンビルディングという言葉をご存知でしょうか。グリーンビルディングは、米環境保護庁が「立地、設計、建築、運営、メンテナンス、改装、解体まで、建物のライフサイクル全体を通して、環境に責任のある、資源効率の高い仕組みや方法を用いた建物」と定義しています。簡単にいうと、環境に配慮した優れたビルといったところです。米国では、NPOのU.S. Green Building Councilが、グリーンビルディングの基準となるLEED1認証制度を運営しています。対象のビルについて各項目を評価し、その合計点により、下からサーティファイド、シルバー、ゴールド、プラチナの認証を付与しています。
LEED認証は国際的な認知度が高いため、海外企業のテナント誘致を視野に、日本でも取得するケースがみられます。ただし、日本で最上位のオフィスビルのLEED認証は、ゴールドとなっています2。全館LEDライトやダブルスキンファサード3などの最新技術を網羅したビルでも、プラチナとなる合計点に届いていません。たとえば、喫煙の排気に関する項目などに米国の特徴がみられ、得点を上げるには特別な対応が必要とされています。
一方、日本でもビルの環境性能を測る認証制度が複数あり4、最近では、日本政策投資銀行のDBJ Green Building認証(以下、DBJ認証とする)を取得したビルが増えています5。LEED認証と同様、各評価項目の合計点により、下からサーティファイド、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの認証を付与しています。
最新の環境配慮型オフィスビルには、LEED認証のゴールドとDBJ認証のプラチナを両方取得するケースもみられます。どちらもゴールドやプラチナというラベルを用いていますが、独自の評価による性格の異なる格付けといえます6。オフィスビルについては、LEED認証がゴールドでもDBJ認証がプラチナであれば、最高水準の環境対応をしたビルとみて間違いないでしょう。
東京都のアジアヘッドクオーター特区構想などもあり、今後、ビル経営にとって海外企業の誘致は、さらに重要になると考えられます。グリーンビルディングをめぐっては、積極的にLEED認証のプラチナ取得を目指す動きが出てくるのか、あるいは、DBJ認証のプラチナが最高水準という認識が定着するのか、今後が注目されます。
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