北村 智紀()
研究領域:
研究・専門分野
■見出し
1――はじめに
2――分析方法
3――分析結果
4――まとめ
■introduction
公的年金が実質的に削減されるようになり、老後の生活資金の準備には自助努力がより求められるようになった。そこで、本レポートは30歳~49歳の男性会社員を対象に、どのような人が「老後の生活資金の準備が進んでいる」と考えているかについて、独自の指標を用いて分析した。
分析結果で特に注目される点は、個人年金保険への加入や、比較的若い年齢で住宅ローンを完済するなど、自分の資産をマネジメントできる人ほど、「老後の準備が進んでいる」と考える傾向があった。逆に、扶養する家族が多い人、小規模の会社や製造現場に勤める人は準備ができていないと考える傾向があった。
「老後の準備が進んでいる」と考えるのは以下の理由によるものであろう。個人年金保険への加入や住宅ローンを繰上返済のような金融取引を行う際には、将来の収入や支出(キャッシュフロー)を考慮して、取引を実行するか判断するはずである。その際、遠い将来かも知れないが、老後の生活資金の準備が意識される機会がある。このような機会に接することが重要だと考えられる。自助努力を進めるためには金融機関の果たす役割は大きく、老後の生活資金の準備についての情報提供を充実させていくことが必要であろう。一方、小規模の会社や、製造現場に勤める人などは、このような機会が少ない可能性がある。会社の人事制度や退職給付制度等の説明の際に、退職後の生活を考える機会を設けることが必要なのかもしれない。
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