欧米諸国の年金事情~隣の芝生は青いか~ 第5回 =フランス編=

2012年12月17日

(前田 俊之)

■見出し

1――社会保障制度の全体像~複雑な構造~
2――年金制度の概要~三階建の仕組み~
3――基礎年金
4――補足年金~手厚い制度の中身~
5――任意加入年金~徐々に役割を増す確定拠出型年金~
6――フランスが抱える課題~失われてゆく経済競争力のなかで~
7――おわりに

■introduction

2年ほど前のことになりますが、フランスで年金支給開始年齢を引き上げようとする政府に抗議して、全土にストライキやデモが広がりました。当時、高校生までもがそのデモに参加していると聞き、フランスでは十代の若者が年金制度に関心を持っているのかと妙に感心した方も多いのではないでしょうか。当時のサルコジ大統領はそうした強い反対を押し切って法案を成立させました。しかし、話はこれで終わりませんでした。今年5月の選挙でそのサルコジ大統領を破って新しく政権を担うことになったオランド大統領は、就任まもない6月に年金支給年齢に関する前政権の決定の一部を取り消す方針を発表しました 。こうした動きの背景にはどのような事情があったのでしょうか。今回はフランスの年金制度の概要と課題を紹介します。

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