米国経済見通し~「財政の崖」を回避できれば、緩やかな成長が持続

2012年12月11日

(土肥原 晋)

<米国経済の見通し>

  1. 大統領選挙後も政権・議会との勢力図に変化は無く、年末・年始に期限の迫る「財政の崖」の回避に向けた交渉が注目される。その対応次第では、個人消費、設備投資等への影響は大きく、また、景気の先行きを極めて不透明にしているため、速やかな決着が望まれる。現状では先送りの可能性が高いと見られるが、その場合にはこの問題のリスクも先送りされるため、持続的な下振れリスクとして位置づけられよう。
  2. なお、足元では、先行きの不透明感の強まりから、設備投資が手控えられ雇用の回復も緩慢である。そのため、所得が伸び悩んでおり、消費の伸びも芳しくは無い。ただ、住宅市場は回復の動きを強めており、これまで景気や個人消費に抑制的な影響を及ぼしていたこともあって今後の改善への期待は大きい。
  3. 政策面では、高止まりする失業率の改善に向け、FRBが追加緩和策を講じる可能性が強まっており、引き続き金融政策の動向が注目される。今後も政策的な下支えにより緩やかな成長が続こう。2013年の成長率は2.0%、2014年は2.6%と見込まれる。



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