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中国は「中所得国の罠」にはまるのか:発展段階、人口構成、都市化、過剰投資の4つの視点から見た現状と展望
2012年11月22日
(三尾 幸吉郎)
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発展段階の視点から見ると、従来は追い上げる立場だった中国が、今後は後発新興国に追い上げられる立場となり、「中所得国の罠」にはまり易い位置に到達している。
人口構成の視点から見ると、生産年齢人口が減少に転じる中で、従来の高成長を支えてきた「安価で豊富な労働力」は曲がり角にある。
都市化の視点から見ると、従来は都市化の進展が高成長に貢献してきたが、今後は農村では大規模化の課題に直面、都市でも高付加価値産業の育成という課題に直面する。
過剰投資の視点から見ると、先行して経済発展したアジア諸国の投資比率が屈折したレベルに達しており、投資主導にも黄信号が灯っている。
以上4つの視点から見ると、中国の成長率が今後鈍化する可能性は高い。但し、成長鈍化だけで「中所得国の罠」にはまったというのはやや言い過ぎで、安定成長へのソフトランディングができれば、「中所得国の罠」を克服したと評価して良いと思われる。
安定成長へのソフトランディングで成否のカギを握るのは消費拡大。中国の消費比率は低く消費の拡大余地は大きい。但し、消費比率が低いのは構造問題があるからで、所得分配制度改革、社会保障制度充実、産業構造転換を進めて、構造問題を解消する必要がある。
財政には裁量余地があるため数年なら8%前後の成長は可能。但し、財政健全性が維持できている内に、既得権益層との折り合いを付け、所得分配制度改革、社会保障制度充実、産業構造転換などの構造転換を進めないと、「中所得国の罠」にはまる恐れもある。
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