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改善する投資市況と懸念される景気後退リスク―不動産クォータリー・レビュー2012年第3四半期
2012年11月01日
(松村 徹)
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国内景気は、堅調だった個人消費が息切れし、外需も失速するなど景気後退リスクが高まっている。ニッセイ基礎研究所は、2012年度実質GDP成長率を1.7%に下方修正した。住宅着工やマンションの新規発売戸数、中古成約件数はおおむね堅調に推移している。地価は下落傾向を弱めて底値圏にある。
東京オフィス市場では、前期上昇した都心3区の大規模ビル賃料が再び大幅に下落し、市況回復がやや後退した。ただし、新築Aクラスビルの賃料はすでに底値圏にあり、景気の急激な落ち込みが回避されれば、2013年上半期にかけて底打ち傾向を強めるとみる。東京都区部のマンション賃料は、底打ち傾向が強まっている。ホテルの客室稼働率は震災前水準にまで戻っているものの、観光地を中心に、外国人比率の高いホテルでは訪日外国人客数の減少が懸念材料である。大型物流施設は引き続き需給が逼迫している。
2012年第3四半期の東証REIT指数は、株式市場が軟調であったにもかかわらず、5%を超える安定した分配金利回りなどが評価されて前期比6.7%上昇するなど、J-REIT市場への信頼感が高まっている。また、私募ファンドの資金調達環境は引き続き良好で、新規組成も増加するなど、不動産投資市場は堅調に推移している。大都市の地価は底値圏で、投資市況の改善が続くと予想される反面、実体経済の影響を受けやすい住宅販売や賃貸オフィス市場などでは景気後退リスクの高まりが懸念される。
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