欧米諸国の年金事情~隣の芝生は青いか~ 第3回=イギリス編=

2012年10月15日

(前田 俊之)

■見出し

1――イギリスの年金制度
2――公的年金 ~先進国の中ではスリムな制度~
3――年金クレジット ~少しユニークな制度~
4――企業年金 ~相次ぐ制度の縮小~
5――ステークホルダー年金 ~伸び悩んだ加入者数~
6――新たな制度の導入
7――公的年金統合の動き~得する人と損する人~
8――おわりに

■introduction

華やかだったロンドンオリンピックを通じてイギリスに親しみをもった人は多いのではないでしょうか。勝者は勿論のこと、敗者に対しても温かい拍手を送るシーンが数多くみられました。成熟した国のあり方を世界に示したと思います。
ところで、「ゆりかごから墓場まで」というフレーズの生まれた国もイギリスです。最近でこそ、この言葉を耳にする機会が減ってしまいましたが、イギリスはもともと社会保障の充実した国としても知られていました。そしてこの考え方は多くの国の社会保障のあり方に影響を与えてきました。しかし、手厚い社会保障制度は大きな財政負担につながり、1970年代には政治問題にもなりました。
そこに登場したのが「鉄の女」サッチャー元首相です。その在任時代(1979年~1990年)には社会保障政策の大幅な見直しを進めました。こうした流れのなかで年金制度もめまぐるしく変化をし、その複雑さは日本の比ではないという意見もあります。ここ数年はその複雑な制度を改めようとする動きが強まり、今年になってからも年金制度の簡素化に向けていくつかの動きがありました。イギリスのように成熟した国でも年金制度の模索は続きそうです。

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