米国経済見通し~消費面への抑制要因多く、緩やかな成長が持続

2012年03月09日

(土肥原 晋)

<米国経済の見通し>

  1. 昨年10-12月期は、クリスマスセールが好調に推移、成長率も年率3%と回復、堅調に見える米景気であるが、依然、低迷する住宅市場や高止まりの失業率が個人消費等に抑制的に作用するなど、本格回復には遠い状況と言える。
  2. 先行きには下振れ要因も多い。米国内では上記の抑制要因に加え、大統領選挙を控えた党派間の対立激化により年末に期限を迎える税制・財政問題の取り扱いの目途が立たない。海外では欧州財政危機やイラン経済制裁に関連した原油価格上昇が懸念される。
  3. 財政面の支援が限定されるなか金融政策への依存は強い。FRBは、昨年8月以降相次いで追加緩和策を実施、1月FOMCでも緩和策を強化した。そうした中で新たな取り組みとして「不胎化QE」の検討が報道されている。直ぐに実施される状況にはないにしても、FRBが多様な手段を有していることは、市場を安心させ、金融緩和策の浸透に効果を発揮しよう。
  4. 今後も消費に抑制的な要因が続き、景気回復は力強さに欠けるが、政策的な下支えもあって緩やかな成長が続こう。2012年の成長率は2.3%、2013年は2.5%と見込まれる。



レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)