最近の人民元と今後の展開(2011年12月号)

2011年12月02日

(三尾 幸吉郎)

■introduction

11月の対米国ドル人民元相場(基準値)は、11月初旬に開催されたG20首脳会議に胡錦濤主席が出席していた3-4日は連続で最高値を更新したものの、その後は一進一退ながら弱含みの推移となり、11月4日の1米国ドル=6.3165元の最高値を更新することはなかった。11月末は前月末比0.4%下落の1米国ドル=6.3482 元で、昨年8月以来1年3ヵ月ぶりに基準値が前月末比で下落した(図表-1)。
他方、1年先の人民元相場を予測して動くNDF(ノンデリバラブル・フォーワード、1年先渡し)は、11月中旬に一時基準値を上回る場面があったものの、11月末には前月末とほぼ同水準まで戻し、乖離幅(基準値―1年NDF)は再びマイナスとなった(図表-2)。
また、米国ドルに対する主要新興国の通貨は、前月の戻りを試す動きを終えて、今月は再び大きく下落する展開となった。図表-3に示したように、米国ドルに対する下落率が最も大きかったのはインド・ルピーの7.2%下落、次いでブラジル・レアルの6.4%下落であり、ともに欧州危機に直面したユーロを大幅に上回る下落率となった。

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