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中国経済の見通し:2012年は8.7%、2013年は9.2%
2011年11月25日
(三尾 幸吉郎)
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中国の2011年1-9月期の経済成長率は実質で前年同期比9.4%増と、昨年通期の同10.4%増から1.0ポイント鈍化した。需要項目別の寄与度をみると、最終消費は前年の3.8ポイントから4.5ポイントへ上昇したものの、総資本形成が前年の5.6ポイントから5.0ポイントへ低下、純輸出は前年の1.0ポイントから-0.1ポイントへとマイナスに転じている。
寄与度が上昇した最終消費は小売売上高の伸びが前年を下回るなど勢いが鈍く、投資は中低所得者向け住宅の建設ラッシュなどで高水準ながらも不動産業のマインドは低下、欧米景気の減速で純輸出の伸びにも陰りがみられることから、成長率の鈍化傾向は当面続きそうだ。
食品の高騰が供給増などで一服、経済成長率が8-9%程度とみられる潜在成長率に近付いたことから、消費者物価は落ち着きを取り戻しつつあり、今後も欧州危機の影響などで成長鈍化が続くとみられることから、消費者物価上昇率は当面鈍化傾向を辿ると考えている。
経営者の夜逃げ多発が話題となった温州市では住宅価格が急落した。住宅価格の下落は沿海部の中心都市に限られており、今のところバブル崩壊を懸念するほどではないが、内陸部や住宅以外の不動産にも波及すると実体経済への影響も大きくなるだけに、中国政府は不動産市況を見極めながらも、部分的な緩和措置をとる可能性が高まるとみている。
経済成長率は鈍化したものの雇用情勢は良好であることから、財政政策の積極化は来年の新指導部スタート以降に温存するとみている。また、金融政策の緩和は、実質金利水準がマイナスであることから利下げは見送るものの、資金繰りに苦しむ中小企業や不動産市況下落で苦境に陥る不動産企業向けに「適時に適度な微調整」が実施されると思われる。但し、欧州危機や不動産市況の成り行き次第では、本格的な金融緩和に踏み切る可能性も残る。
以上から、メインシナリオでは、2012年の成長率は8.7%、2013年は9.2%と予想する。
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