高齢者向け銀行実務について-成年後見制度への対応を中心に

2011年10月27日

(小林 雅史)

■見出し

1――はじめに
2――銀行での認知症高齢者への対応
3――後見制度支援信託の検討
4――おわりに

■introduction

急速な高齢化の中で、認知症高齢者が増加しており、厚生労働省などの推計によれば、2010年には約208万人(65歳以上の高齢者に占める割合は7.2%)、2020年には約289万人(同8.4%)、2030年には約353万人(同10.2%)に達するとされている。
認知症などにより本人の意思能力が不十分な場合の対応である法定後見制度として、2000年に成年後見制度が導入され、家庭裁判所の審判による後見・保佐(従来の禁治産・準禁治産に対応)・補助(軽度の精神障害を有する者に対応するため新設)に加え、本人の判断能力低下前に、あらかじめ本人が後見人を公正証書により登記しておく任意後見制度も新設された。
生保会社では、1992年以降、被保険者が受取人となる保険金等について、被保険者が保険金等を受け取ることのできない意思能力喪失等の特別な事情がある場合に、保険契約者が被保険者と一定の関係を有する者からあらかじめ被保険者の同意を得た上で指定した指定代理請求人が、被保険者の代理人として保険金等を受け取ることができるという指定代理請求制度(生保会社の一部や損保会社においては、事前の被保険者の同意を得た上での保険契約者の指定を要しない代理請求制度)を導入している(詳細については小著「生損保の指定代理請求制度」、ジェロントロジージャーナルNo10-018参照)。
本稿では、保険会社による対応の紹介についで、銀行における認知症高齢者への対応などについて、成年後見制度への対応を中心に紹介することとしたい。

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