同時改定の功罪

2011年10月24日

(阿部 崇)

■見出し

1--------6年に1回のイベント
2--------同時改定への期待
3--------同時改定の「功」と「罪」

■introduction

医療保険制度・介護保険制度に関するここ1~2年の話題といえば2012年4月に予定される診療報酬と介護報酬の同時改定であろう。診療報酬(医療のサービス単価)は2年ごとに、介護報酬(介護のサービス単価)は3年ごとに単価水準や算定ルールの見直しが行われ、このズレによって6年に1回のペースで両者の改定が同時期になる(図表-1)。
報酬改定は“第二の制度改正”とも言われ、医療保険制度、介護保険制度に大きな影響を与えるものである。サービス単価やルールの見直しは、患者・利用者の受療・利用行動を、また、医療機関や介護事業者等の供給パターン・供給力を変えてしまう要素を持つ。極端な例を挙げれば、受給の面では、自己負担との兼合いから「受診をひとまず我慢する」、支給限度額との関係から「より安価なサービスに切り換える」、また、供給の面では、1日あたり入院費の下がる長期入院を嫌って「無理な段階で退院を求める」、十分な看護スタッフを確保できず「医療対応を要する利用者を受け入れない」などである。では、同時改定が注目される理由は何か。

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