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中国のインフレと金融政策~景気減速とインフレの板ばさみの中で~
2011年09月30日
(三尾 幸吉郎)
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中国では、消費者物価が3ヵ月連続で6%を超えるなどインフレ懸念が高く、住宅価格は70都市全てで前年同月比上昇するなどバブル懸念も燻る中、欧米先進国では景気失速懸念が台頭、今後の消費者物価、住宅バブル、これらを受けた金融政策の行方が注目される。
8月の消費者物価は前年同月比6.2%上昇と、7月の同6.5%上昇と比べると上昇率は0.3ポイント鈍化したが、前月比でみると0.3%上昇しており、原料高や人件費高騰を背景とした物価上昇は止まっていない。昨年下期の物価上昇の反動というテクニカルな要因で、今年末にかけての消費者物価は上昇率が鈍化するとみられるが、インフレ懸念は払拭し切れない。
住宅バブルは、中国政府の住宅価格抑制策や中低所得者向け住宅の大量供給など需給両面に渡る対策の効果で、北京市や上海市のような大都市では沈静化の兆しもある。但し、地方都市では価格上昇が止まらず、購入制限の厳しい住宅からオフィス等へ資金が流れ始めた兆候もあり、実質金利が大幅マイナスの下では、バブル膨張を抑え切れそうにない。
一方、製造業PMIなど先行性が高いサーベイ調査が低下傾向を示すなど、中国経済には暗雲が立ち込めてきた。インフレ懸念を完全払拭する前に、景気減速の兆しが現れてきたことで、中国の金融政策は難しい舵取りを迫られている。今のところ中国人民銀行は物価上昇抑制に軸足を置くスタンスを堅持しており、当面は追加的金融引締めを実施する可能性も残るが、その後は景気減速に配慮して利上げを停止する可能性が高いだろう。
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