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中国経済の見通し:地方政府性債務と中国経済の行方
2011年08月26日
(三尾 幸吉郎)
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中国では前年同期比9%台半ばの高成長が続いている。高成長を支えるのは投資で、特に建設や不動産開発が高い伸びを示す。自動車販売の鈍化で心配される消費だが、労働報酬が高い増加率を示していることから全体が大幅減速する可能性は低いと予想する。
消費者物価は7月に前年同月比6.5%上昇した。米国経済に失速の懸念が浮上したことから原油など国際商品市況が下落、豚肉価格の高騰も一段落したことから、消費者物価上昇率は今後鈍化する可能性が高まっている。但し、サービス価格の上昇率が高まっていることから、世界経済が復調するとインフレ懸念が再燃しやすい状況が続く。
住宅販売価格は、上海市や北京市などの大都市では上昇ピッチが鈍化、販売量も大幅減少するなど調整ムードが高まっているが、東北部や内陸部の地方都市では最高値更新が続いており、販売量も3ヵ月連続で増加するなどバブル膨張の懸念が再浮上している。
地方政府性債務残高は2010年末で10.7兆元(約128兆円)と判明。リーマンショック後の2008年からの2年間に増えた債務は5.1兆元(約61兆円)で、世界的金融危機からの脱却に大きな役割を果たした。現在は地方政府性債務の一般企業貸付への振替など債務整理の途上にあり、地方政府が主体となった投資の高い伸びは当面期待しづらい。
国際商品市況の低迷で消費者物価上昇率が鈍化するとみられることから、利上げは今秋を最後に一旦停止される可能性が高まった。但し、中国のインフレの根は残っており、世界経済が回復に向かう2012年秋頃にはインフレ懸念が再燃すると予想している。
2011年の経済成長率は、上期の実績を反映して0.3ポイント引き上げ9.1%増、2012年は米国経済減速に伴う輸出減を織り込み0.3ポイント引き下げ9.0%増に予想を改定。
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