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子ども手当見直しによる家計への影響~高所得者層の可処分所得は大幅減少に
2011年08月19日
(桑畠 滋)
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民主・自民・公明3党は、子ども手当を見直し2012年度以降は児童手当を改正した新たな制度(以下、新児童手当)へ移行する方針を固めた。本稿では新児童手当導入が家計に及ぼす影響について整理することに加え、今後焦点となる高所得者層への負担軽減策の行方についても考えてみたい。
一連の改正が、家計に与える影響についてモデル世帯を用い検証する。モデルの対象となる世帯は、被用者・専業主婦世帯(妻、子ども2人)を対象とし、子どもの年齢によりケース1(1歳、4歳)、ケース2(10歳、13歳)の2パターンに分け検証する。
ケース1については、新児童手当支給世帯と不支給世帯ともに一連の改正を受けて2011年から13年にかけて可処分所得が減少するものの、減少幅では大きく異なり、不支給世帯では可処分所得が▲37.8万円の大幅減少となることが確認できる。
ケース2については概ねケース1同様の傾向がうかがえるが、新児童手当支給世帯の2011年から13年にかけての可処分所得減少幅がケース1と比べ、▲6万円程度拡大していることが確認できる。これは特別措置法に基づく子ども手当、及び新児童手当の月ごとの支給額がケース1に比べ、▲5000円少ないことが理由である。
2013年の可処分所得と子ども手当実施前の2009年の可処分所得を比較すると、ケース1、2ともに低所得者層で可処分所得が増加する一方、高所得者層では大幅減少となることが確認できた。これは年少扶養控除廃止に伴う所得税、住民税の負担の増加分がそのまま可処分所得を押し下げているためである。
高所得者層に対する負担軽減策として(1)年少扶養控除復活、(2)一定額の支給という二つの方法が考えられるが、(1)年少扶養控除復活は、税制抜本改革の流れに水を差すこともなりかねないことから、現実的には(2)一定額の支給が採用される可能性が高い。ただし、この場合でも支給額次第では、新たな財源問題が生じかねず、政府は非常に難しい対応を迫られることとなるだろう。
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